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着床前スクリーニング

着床前スクリーニングとは

胚盤胞

TE細胞を採取

着床前スクリーニングは、体外受精により作成した受精卵(胚)を移植する前に染色体異常の有無を調べる検査で、Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy(PGT-A)やPreimplantation Genetic Screening (PGS)と呼ばれています。

受精後5~7日目の検体からDNAを抽出・増幅して、次世代シーケンシング(Next Generation sequencing; NGS)という方法で解析します。


細胞を使用するPGT-A(PGS)と培養液を使用するniPGT-A(niPGS)

PGT-A(PGS)には、2つの方法があります。

  1. 1. 将来胎盤になる部分(TE細胞)を使用する方法
  2. 2. 胚の培養液を使用する方法

1つは、従来から行われているTE細胞を使用するPGT-A(PGS)です。
受精後5~7日目の胚盤胞のTE細胞(将来胎盤になる部分)の一部分を採取し、そこからDNAを抽出・増幅してNGSにより解析します。
TE細胞を採取した胚盤胞は、検査結果が出るまで凍結保存しておきます。


もう1つは、培養液を使用するniPGT-A(niPGS)です。
TE細胞を採取しないので、受精卵(胚)にやさしい最新の検査方法です。
受精後6日目または7日目の胚盤胞まで成長させた培養液を回収し、そこからDNAを抽出・増幅してNGSにより解析します。
胚盤胞は、従来のPGT-A(PGS)と同様に検査結果が出るまで凍結保存しておきます。


niPGT-A (niPGS)は、non-invasive PGT-A (non-invasive PGS)の略で、胚を傷つけない(非侵襲的)PGT-A (PGS)という意味です。


メリットとデメリット

メリット

不着床や流産の原因の多くは受精卵(胚)の染色体異常であることが分かっています。
移植に用いる胚の染色体異常の有無が予め分かっていれば、妊娠に結びつかない胚を移植胚から除外できるので、流産率が低下し、不妊治療に費やす時間のロスをなくすことができます。
また、妊娠中に出生前検査で重篤な先天性疾患が見つかった場合、産むか産まないか辛い決断を迫られるという可能性がありますが、PGT-Aを行うことで染色体異常に起因する先天性疾患については、その可能性を減らすことができます。


デメリット

解析結果が出るまでに何週間かかかるので、PGT-A(PGS)を行う場合、新鮮胚移植はできません。
検体を採取した胚盤胞は凍結保存し、PGT-A(PGS)の結果を踏まえて融解胚移植を行います。


  niPGT-A (niPGS) 従来のPGT-A (PGS)
メリット
  • ・受精卵(胚)を傷つけない。
  • ・従来よりも低グレードの胚で検査ができる可能性がある。
  • ・移植の前に染色体異常を調べられる。
  • ・妊娠率が上がることが期待できる。
  • ・流産率を下げることが期待できる。
  • ・性別を知ることができる(希望の場合)。
  • ・移植の前に染色体異常を調べられる。
  • ・妊娠率が上がることが期待できる。
  • ・流産率を下げることが期待できる。
  • ・性別を知ることができる(希望の場合)。
デメリット
  • ・5日目(Day5)凍結ができない(培養液中のDNAが不十分なため)。
  • ・新鮮胚移植ができない(検査結果が出るまでに時間がかかるため)。
  • ・検体を採取するため受精卵(胚)の一部を切り取る。
  • ・ある程度の良好胚でないと検査ができない(検体の採取ができないため)。
  • ・新鮮胚移植ができない(検査結果が出るまでに時間がかかるため)。

[注意]

PGT-A(PGS)で染色体異常を認めなかった胚を移植して妊娠出産に至った場合でも、出生したお子様に染色体異常を認めることが稀にあります。
この原因としては、NGSでは検出できない微細欠失や、検査にTE細胞を用いた場合には、TE細胞(将来胎盤になる部分)と胎児になる細胞(ICM)の染色体が異なっているケース(モザイク)などが考えられます。
また、TE細胞を用いたPGT-A(PGS)では、TE細胞を採ることで、破砕や発育停止など胚盤胞へのダメージの可能性があります (PGT-Aにより染色体異常を誘発することはありません)。
niPGT-A(niPGS)の結果と従来のPGT-A(PGS)の結果が一致しない場合があります。
これは従来の方法では胚の一部を採取して検査するため、モザイク胚であった場合に検査した部分とは異なる結果の部位が他に存在する可能性があるためです。
同一の受精卵から従来のPGT-A(PGS)とniPGT-A(niPGS)、同一周期の採卵で従来のPGT-A(PGS)とniPGT-A(niPGS)のいずれも同時にはご利用いただけません。


方法

  1. 採卵、顕微授精(ICSI)、胚盤胞培養を行います。
  2. TEバイオプシーを行います(胚盤胞のTE細胞を採取することです)。
  3. PCR法で染色体を増幅します。
  4. 次世代シーケンシング(Next generation sequencing; NGS) という方法で染色体を解析します。

TEバイオプシーを行います
TE バイオプシー

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染色体を増幅(PCR法)
染色体を増幅(PCR法)

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PCR法で染色体を解析(NGS)
染色体を解析(NGS)


結果について

NGSでは、1番から22番の常染色体と性染色体(X染色体、Y染色体)がそれぞれ何本あるかが分かります。

NGSの解析結果は下図のようなグラフで表され、染色体が3本ある場合(トリソミー)は青いライン、染色体が1本しかない場合(モノソミー)は赤いラインにプロットされます。

通常、常染色体は2本ずつあるので、染色体異常が無ければ基線上に一直線にプロットされます。

性染色体は、女性ならX染色体が2本なので基線上、Y染色体はないのでモノソミーのラインのさらに下にプロットされます。

男性の場合はX、Y染色体がそれぞれ1本ずつなのでモノソミーのライン上にプロットされます。

 

[グラフ1]  染色体異常なし、男性(XY)

「グラフ1」染色体異常なし、男性

グラフ1は、1~22番染色体が基線上、X染色体、Y染色体がそれぞれモノソミーのライン上にあるので、染色体数正常の男性です。

 

[グラフ2]  9トリソミー、18モノソミー、性染色体異常(XXY)

「グラフ2」9トリソミー、18モノソミー、性染色体異常(XXY)

グラフ2は、9番染色体トリソミー、18番染色体モノソミーです。また、性染色体異常(X染色体が2本、Y染色体が1本の合計3本)を認めます。

 

[グラフ3]  3トリソミーのモザイク、16モノソミーのモザイク、女性(XX)

「グラフ3」3トリソミーのモザイク、16モノソミーのモザイク、女性(XX)

グラフ3は、モザイク現象を認めます。
ここで言うモザイク現象(Mosaicism)とは、1個の胚盤胞に染色体異常を認める細胞と染色体異常を認めない細胞が混在している状態です。
グラフ上では、トリソミーのモザイクならトリソミーのラインと基線の間、モノソミーのモザイクならモノソミーのラインと基線の間にプロットされます。
このグラフの場合は、2箇所にモザイクが見られ、3番染色体は正常とトリソミー、18番は正常とモノソミーの細胞が混在していることが分かります。

※ モザイク胚盤胞の取り扱いについては、専門家の間でも公的な見解はありませんが、程度により一定の割合で健常児が出生することが分かっています。

 

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また、「着床前スクリーニング(PGT-A,PGS)についての同意書」を郵送にてご提出ください。
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